3.22世紀型社会への道
3) 今やるべきこと
【私のふりかえり】(その3)
大学は東京農工大学農学部農芸化学科を卒業しています。就職に際して営業系の職種に就くという発想が全くありませんでした。入社した花王株式会社では、工場の技術職に始まって研究所で新製品の開発研究を担当した後、本社の事業部に移って事業としての新製品の開発業務に携わりました。小学校の卒業文集に、「大人に成ったら新しい製品を作って世の中に貢献したい。」みたいなことを書いていたので、希望が叶ったとも言えます。事業部での新製品開発業務は広い意味でマーケティングの一端であったため、技術職と営業職に跨った職人仕事のようなイメージでした。発売スケジュールに追われ、色々な部署や関連業者と交渉しながら仕事を進める商品開発の仕事は、当初大変辛くストレスの溜まる仕事でしたが、慣れて来ると世の中に自分がクリエイトした商品が出て行くというやりがいも実感できました。
私は子供の頃から文字を読むのが遅く苦手で、本をほとんど読まない学生時代を過ごしたのですが、社会人になって通勤電車の中での読書が習慣になりました。電車に乗れば条件反射のように本を読む毎日だったので、スピードが遅いとは言えかなりの数の本を読むことになりました。その大半が精神世界、宗教、神秘思想、心理学といったジャンルで、会社の帰りに本屋さんに寄ってそういう本のコーナーに行くのも日課のようでした。
責任感が強く真面目に仕事に取り組む一方で、自分自身の精神・意識・魂を高めて行くことを人生のテーマと捉える一面が強くあり、そのために普通に社会人として生活しながら行う在家修行のような方法論を求めていました。当時そうした方法論が書かれた本が少ない中で、26歳の時に独学で始めた密教の座行が思い通りに進まなかったことから、27歳の時にクンダリニーヨガの瞑想教室に週末に通い始めました。学術的に超能力の研究などもされていた本山博先生が開いていた教室で、そこで瞑想を指導されていた女性の先生とインパクトのある出会いがあり、内弟子となって5年半通いました。瞑想だけでなく、滝行や山岳修験道などの世界を体験する日々で、平日は会社員、週末は修行者、ヨガ教室のアシスタントインストラクターのような生活でした。当時色々普通の人ができない体験をしましたが、会社の仕事の責任が重くなり忙しさが増す中で、ヨガ教室の方も仕事が増えて行き、首が回らないような生活になって行きました。
そんな折、会社からマレーシア駐在業務への異動の打診があり、二つ返事で受けてしまいました。ガンジガラメの2足の草鞋の生活から抜け出したいという思いが強かったように思います。
海外は別世界という印象が強く、この駐在のために32歳にして初めてパスポートを作った私でしたが、駐在したマレーシアは別天地でした。「日本がそのモデルになる?」の項で少し述べたようにマレーシアはマレー人、中華人、インド人からなる複合民族国家で、英国統治下であって今でもコモンウエルス・オブ・ネイションズであることから母国語であるマレー語の他に英語が普通に使われる国です。異民族に寛容で、何処に行っても違和感なく日本人の私を受け入れてくれました。駐在(現地会社出向)業務は、MK部長としての現地会社の仕事に加え、日本から来るおびただしい数の出張者対応という仕事があり、観光代理店のような仕事も日常業務でした。公私の境目のない生活で、休みなく四六時中仕事の体制を取っている状況でした。とてつもなく忙しい毎日でしたが、日本にいた時に比べれば裁量権がかなりあり、楽しく明るい期間でした。
6年間のマレーシア駐在を終え2年間日本に戻りましたが、この間に結婚し、同時にインドネシア駐在となり6年、そこから継続してタイに1年半駐在を続けることになりました。この間、私のもうひとつの面である精神世界の探求は、朝の短いお祈りと瞑想を形式的に続けているレベルになりました。
改めてまた精神世界に関心が向き始めたのは2001年のことです。この時はジャカルタに駐在していましたが、ケーブルテレビでCNNの国際放送を見ることができました。9月11日仕事を終えて帰った家のテレビで、ニューヨークのワールドトレードセンターに2機目の旅客機が突っ込むシーンをライブで目の当たりにしました。そして、その後当時のブッシュ大統領が「我々は全世界で対テロリズムの報復戦争を開始する。」と宣言したことに強い違和感を覚え、それをきっかけに俗に陰謀論とか闇の世界権力、国際金融資本とか言われる類の本をたくさん読むようになりました。そうした世界の延長にスピリチュアルに通ずるものがあり、少しずつ自分のスピリチュアリティ探索が再開して行きました。
それについては次回続けさせていただきます。
※『22世紀型社会に向って -日本がそのモデルになって行く-』は、週1回くらいのペースで書き足しています。バラバラした投稿になっていますが、初めから順番に読みたい方は、note のサイトを見ていただくと、頭から読める投稿にしてあります。