2.色々な分野で起こるであろう変化
4)これからの組織
コミュニケーションの在りようが変わって行くことで、組織の在り方も変化するはずです。社会の発展段階と共にこれまでも組織は進化してきたと思いますが、最新の組織形態のひとつであるティール組織を提唱しているフレデリック・ラルーは、社会の発展段階に合わせて組織が、衝動型→順応型→達成型→多元型と進化して来て、今最新の進化型であるティール組織に変わって行こうとしているとしています。
衝動型は力の強いものがその力により構成員達を従えるオオカミの群のような組織で、ここに階級として絶対的なヒエラルキーが導入されると次の順応型になります。このヒエラルキー組織に各構成員の目標設定やそれに伴う実力主義・成果主義が導入されたのが次の達成型です。民間企業を見ていると、ワンマン社長をトップにしたヒエラルキーがイエスマンで固められた構造が続くことでもたらされる業績不振から、この順応型に進んだところが多いように思います。これに対して政治政党などは、未だに胡麻をするイエスマンで組織が固められる衝動型や順応型に見え、時代から大きく取り残された組織形態を呈しているように思えます。この後取り上げるティール組織は、意識が自立意識へと変容、成長することで形作られる自然発生的な組織だと思うのですが、この人間的意識の成長から、最も遠いところにいるのが政治家の人達のように見えます。残念なことです。
達成型に話を戻しますが、極端な成果主義が組織に導入されると組織員の間の競争が激化し、心身に不調を来すメンバーが増え、その結果組織全体が疲弊するようなケースが眼立つようになります。日本でも2000年頃にこうした大企業が増えた記憶があります。一方で物資は満ち足りて昔に比べれば生活にゆとりのある人達も増えたことから、仕事に対する価値観が多様化し、それを受け入れる方向に進んだ組織が多元型でしょうか。組織内での権限移譲が図られ、個人、人間関係、ライフスタイルなどが尊重されるようになりました。
そして、大きな時代転換に合わせて前回までに述べて来たようなコミュニケーションの在り方にも変化が進むことで、組織もこれまでのような枠組みに捉われない形に進化して行くものと思われます。そのひとつの象徴がティール組織ということになります。これは、きちっとした組織という形が、あるんだかないんだか分からないまま仕事がきちんと回っていくイメージでしょうか。繋がったメンバー間の暗黙の自発的連携で動いて行くイメージです。ですから生体機能型の組織とか、生態系のような組織と言っていいでしょう。
さて、コロナ渦で一気に普及が進んだZOOMに代表されるオンラインのミーティングや集まりがあります。私も多用しています。こうした繋がり、活動から生まれるネットワークが色々な形で生まれる世の中になりました。こうしたネットワークが重なり合って多重に存在できて、それで世の中が回って行くのがこれからの時代のひとつの形でしょう。私が企業に勤めていた時代は、副業を持つということは就業規則で制限されていましたし、勝手に作った仕事への倫理観で自分から避けていたように思います。コロナによる在宅勤務で、こうした感覚は一段と変化したのではないでしょうか。リンダ・グラットンの「ワーク・シフト」や「ライフ・シフト」は、こうした変化の広がりを予見していたように思えます。
こうした自然発生的なネットワークは、距離に関係なくエリアや国境を越えて生まれます。そして、大変重要なポイントになりますが、こうした新しいタイプの連携が、継続的に上手く機能するかどうかは、メンバーが自立意識に変容しているかどうかがキーになると思うのです。メンバーのマジョリティが優越意識階層にあると、自分が有利になりたいというメンバーの動きから起こる摩擦で、ティール型は機能しなくなるでしょう。こうした色々な変化変容が相補的にパラレルに進んでいく・・ そうした時代の転換を体験していく時期なのだと思います。量子もつれという現象は宇宙のベースであり常時起きている訳ですが、意識が自立するほどに自然にその法則に乗っかれるようになるのだと思います。だから必要なところで勝手に繋がって当たり前に上手く回るネットワークができて行きます。
そして、ネットワークが当たり前のように国境を超えるようになると、今の国、国家というものに与えられている意味や機能、制度、国際関係などは大きく見直さざるを得なくなるでしょう。既存のルールに関係なく、自然にできる良いネットワークがどんどん増えてしまうからです。次回は国を一番の基準にして行われている現代の政治が、これからどうなって行くかを少し考えてみたいと思います。
※『22世紀型社会に向って -日本がそのモデルになって行く-』は、週1回くらいのペースで書き足しています。バラバラした投稿になっていますが、初めから順番に読みたい方は、note のサイトを見ていただくと、頭から読める投稿にしてあります。