に投稿 コメントを残す

『22世紀型社会に向って -日本がそのモデルになって行く-』(10回目)

1.今 世の中で起きていること、進む方向

1)22世紀に向って変えて行くこと

【価値観の前提となる視点の変化】(その1)

 パラダイムシフト「クォンタムサイエンス」についてもう少し書こうと思っていたのですが、更にマニアックな内容になりそうなので、次の【価値観の前提となる視点の変化】に進むことにします。

 私が今書いているような内容の研修やワークショップをした時に、参加者によくリンゴやバナナの絵を描くワークをしてもらっています。自分が捉えてものを表現できるように簡潔に書いてもらった後、「それでは今度はあなたの横にトンボがいると思って、トンボにはどのように見えるかをイメージして書いてみてください。」と言ってもう1枚書いてもらいます。そうすると100%に近い人が別の絵を描くので、次に別々の絵を描いた理由を聞くと「トンボは小さいから」とか「トンボは複眼だからたくさん見えている」とか、色々な答えが返ってきます。ほとんどの人が、人とトンボでは見え方が違うのだと感じている訳です。

 そこで次に「どちらが本物だと思います?」と聞くと、ちょっと考えた後「どっちも本物」「どちらも本物ではない」などの答えが返ってきます。これは正解も不正解もない質問なのですね。見え方はそれぞれだと言うことを、理屈っぽく説明すればみんな分かってくれます。別にトンボでなくても、近視の人と遠視の人が並んでいれば、リンゴの見え方は絶対に違うはずです。でも私達はみんながみんなそこにあるものを同じように見ていて、その同じものがちゃんとそこにあるのが現実だというルールを暗黙の内に作ってそれに従って生きています。

 ここで視覚というもののメカニズムを考えれば、リンゴと呼ばれるものに当たった電磁波の内、赤と呼ばれる色に感じ取れる波長帯の反射光を眼球のレンズから取り込んで、網膜、外側漆状体、視覚中枢、視覚神経細胞などを通して解析された情報を、脳みその中にある超高性能3Dスクリーンに映し出したものです。自分の脳が解析した情報を脳の中に映し出している像が視覚であって、本当にそこにあるもの=視覚ではないんです。そしてこの像は当然近視の人と遠視の人では別物ですし、トンボなら私達が見ることができない紫外線の色まで1万個以上の複眼を使って捉えて、全く別の像を描いているはずです。

 一気に話は飛躍しますが、私達が捉えている世界とは、私達が感覚器官を使って捉えた情報を私達の内側で解析し、私達それぞれの内側に築き上げた世界像に他なりません。この世界像は人の数だけあります。これを主観と呼ぶなら、世界には主観しかないことになります。これは事実です。でもそれでは困ることがたくさん出て来る・・ だから私達は私達の外側にみんなが共通に捉えている世界が実際にそこにあるという暗黙のルールを作って、それに従って生きています。2メートル先に赤いリンゴがあるなら、私達が捉えている視覚は共通で、それは頭の中の像ではなく外側の世界そのもので、例えトンボであっても皆同じ外側2メートルにあるリンゴを現実世界として捉えている。それを当然と思い込んで、私達は普段生活しているはずです。これをきっと客観性と言うのでしょう。

 私達は生まれた時からこの客観性をベースした教育を受けて育ちます。お母さんから「これはお花よ。ワンワンかわいいね。」と教わり、他の周囲の人達からも同様に共通認識を植え付けられます。これによってコミュニケーションが可能になる訳です。ですからこうした教育はとても大切なことです。でも、正解はひとつで、それと違ったことを言うと「それは間違い!」と言われてダメ出しされる、今の社会はそういうことが行き過ぎていると感じてしまうのですが、いかがでしょうか。本来ものの捉え方が一人ひとり違う以上、その違いを認め合うことも大切なはずです。客観性と主観性のバランスが大切なのに、客観的と言われるものが重視される世の中に成り過ぎていないでしょうか。

 それには理由があります。私達のほとんどが、【意識の変容】のところでお話しした「優越意識」の階層に、今はまだ居るからです。何でも比べっこして自分が正しいと主張する人達が、客観性のない主観性重視の世の中で活動すれば、そこは自分勝手が横行する無法地帯になってしまいます。だから客観性の取り決めの最たるものである法律も必要なんです。私達の本来の姿である主観性を重視した世の中を築こうとすると、それに合わせて私達の意識が「自立意識」に変容して行くことが必要になります。そして、そういう大きな時代の変わり目に今私達は入ってきていると思うのです。

 今回もややこしくなってしまったのでこの辺にして、次回もう少し掘り下げてみたいと思います。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です