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『22世紀型社会に向って -日本がそのモデルになって行く-』(6回目)

1.今世の中で起きていること、進む方向

1)22世紀ってどんな世の中? 

【意識の変容】(その4)

 現代社会は優越意識に支配されていると思うのですが、この意識は優劣、良し悪し、善悪、高低、正誤などの基準軸を持って何でも比較し、基本的に自分を上位に位置づけようとする意識です。正誤で言えば自分が正しく、正義と悪で言えば自分が正義であるということを前提にする意識になります。最近「風の時代」という言葉が良く使われますが、これまでの時代を「地の時代」とすれば、その時代を象徴する意識といえるでしょう。昭和的と言ってもいいかも知れません。

 私は昭和の時代に育った人間ですが、ひとつ年上に昨年凶弾に倒れた元総理大臣の阿部晋三さんがいます。私が図7の資料を作ったのは2021年の秋で、この資料を使って「時代の転換と意識の変容」という動画をYouTubeに公開したのは昨年4月でした。この時安倍さんはまだ生きていらっしゃったのですが、「地の時代」「優越意識」の象徴として描いてしまいました。国会で118回嘘をついても、嘘をついている自分こそ正しいと疑わないような意識です。

 これ以上安倍さんの批判は控えますが、現代人の70%くらいはこの優越意識を主に使って生きているように思います。残りの30%のほとんどがその前の段階である集団帰属意識中心に生きていて、これからの時代の意識となるべき自立意識で生きている人は、まだまだ僅かのようです。資料ではその象徴をオードリー・タンさんにしました。35歳の若さで台湾のデジタル担当大臣に抜擢されたオードリー・タンさんは、ご自身がトランスジェンダーです。「自由への手紙」という本のカバーにある「誰かが決めた正しさにはもう合わせなくていい」という言葉は、自立意識の象徴と言ってよく、 正しいとか正しくないとかいう基準そのものが無意味であり、みんなそのままでいいということですね。そのままの自分はみんなそれぞれ違う訳ですが、その違いを認めて違うままでいいという意識です。

 優越意識がマジョリティの時代が現代まで続いてきているが故に、今も地球上では「正しい」と「正しい」のぶつかり合いが絶えません。優越意識同士の戦いの土俵が、地球上の人間社会を覆っていると言っていいでしょう。

 戦争に於いても、お互いに自分達が正しい、自分達が正義と主張して戦う訳ですが、これを自立意識で見れば、それぞれが違う主張をしているだけということになります。注意したいのは、世の中を評論する評論家、批評家、専門家と呼ばれるような人達も、そのほとんどが優越意識を持って自分が正しいという前提で批評していることです。

 自立意識の人は、「私は私、あなたはあなた。そこにあるのは違いです。」という視点でものを見るので、「正しい」という主張のぶつかり合いは起きません。自立意識の人達の集まりの中では、争い事は起きないんです。自立意識を使っている状態と優越意識を使っている状態では、脳の使い方が違っているように思えます。これはまた章を改めて考えたいテーマになりますが、優越意識の人が自立意識を持つために初めにすることは、物事を俯瞰してみる努力をすることだと思います。俯瞰して見える見え方も当然人それぞれ、様々ですが、先ず俯瞰して見る努力をする、ここから始めることが大切だと思います。

 図9のように、優越意識同士のぶつかり合いの土俵である世界を俯瞰して見るとどのように見えるのか。メディアなどに流れる情報だけを鵜呑みにしないで、「優越意識→自立意識」という今時代に求められる変容を進めるために、先ずそこから始められないでしょうか。

 【意識の変容】の話が長くなりましたが、次回からは22世紀型社会に向って必要になる変化として、【パラダイムシフト】について見て行きたいと思います。

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