3.22世紀型社会への道
2)日本がモデルになる?(その1)
東日本大震災の時の被災者・日本人の間で自然発生的に起こった連携活動は、世界のどこでも見られるものはない気がします。これから、世界規模の様々な危機の際に、ああした日本人特性が試される機会が何回も来るのかも知れません。今年は関東大震災から100年目ということで、テレビの特集番組なども多かった気がしますが、関東大震災の後には朝鮮系の人達や中国系の人達の殺害、物資の略奪なども起きていたようで、東日本大震災の後とは、様相が違っていたように感じます。2011年と言えば既に「水瓶座の時代」、そうした変化がベースにあるのかも知れません。
渡辺京二さんの「逝きし世の面影」に描かれる江戸時代の日本の庶民生活や文化は、明治維新期に日本を訪れた一部の欧米人から見て、かなり理想的に見えたようです。道教や仏教に言う「足るを知る」や、儒教的な「仁義礼智信」の世界が上手く溶け合って、「自立意識」的な社会を生み出していた面があるのかと、私には思えます。それが明治維新で国が欧米化する流れで、「優越意識」が全面に出る日本社会に変わったのかなと。単純過ぎる見方かも知れませんが。
それが少しずつまた変わり始めているように感じる背景には、日本民族の言語脳の使い方が関係しているように思います。角田理論と言われる、角田忠信先生の研究によるところですが、MRIによる脳の機能解析により否定されてきた角田理論が、最近MRIの改善により再び評価されることになって来たようです。母音を長く発音する言葉の多い日本語を生まれた時から身に着けた日本人と、子音発音主体の他の言語を身に着けた人々とでは、言語処理脳と虫の音などの音の処理脳の使い方が違っているのです。言語脳は一般的に左脳が主体になりますが、日本人が母音の長い日本語と虫の音をこの左脳主体で処理し、雑音を右脳で処理するのに対し、日本語以外の言語民族では、母音の伸びる音に近い虫の音などが雑音として右脳で処理されます。
一般的に左脳が論理脳、右脳が感性脳と言われ、私見になりますが、日本人は日本語の発音特性から、感性に関わるある部分の機能が論理脳の左脳に統合されているのではないかと思うのです。この論理と感性の部分統合が左脳の中で起こっているところに、日本人の特性があるのではないでしょうか。
私は会社員時代、アジアへの駐在勤務が長かったのですが、日本人と他の国の人達との仕事のやり方の違いに直面することがよくありました。特に最初に駐在したマレーシアは複合民族国家と言われ、マレー人、中華系民族、インド系民族が一緒に暮らす国でした。それぞれの民族特性を肌で感じましたが、それ以上に日本人の特殊性も実感しました。よく言われることですが、日本では、会議などで明確に結論が確認されず、やることの役割分担を決めなくても、みんな自分のやることをちゃんと理解して上手く仕事が回って行くことが通常です。それでも分からないことはメンバー間で勝手連絡を取って、「これどっちでやる?」「今回はこっちでやっとくよ。」みたいなやり取りで、上手く仕事が進んで行ったりします。後に欧米の方達とも一緒に仕事をする機会がありましたが、日本以外ではこのやり方は通用しません。全員で決まった結論を確認し、それぞれの役割分担を明確にしないと、誰も何もやっていないと言うようなことが当たり前に起きます。担当業務には詳細なジョブディスクリプション(職務記述書)がないと、仕事を適当にやるだけのメンバーが出てきます。日本人には教えられたものではないのに「阿吽の呼吸」のような感性があって、それが日本語の言語特性から来ているものではないかと感じています。
そして直感でしかありませんが、この日本人の左脳に見られる統合機能が、これからの時代の地球の波動環境に向いているように思うのです。日本人のそうした脳の使い方の特性が、知らず知らずの内に、宇宙的なレベルで地球を取り巻くこれからの時代の波動環境に、日本人が先行して馴染んで行き易い状況を生んで行くのではないかと思います。これから異常気象や地震・噴火などの大きな自然災害、人間社会に於ける様々な紛争など、私達の日常生活に大きな支障を来す事態が益々増える時期になって行くでしょう。そんな中で、東日本大震災後の日本人の自然発生的な対応が、世界の範となるような機会が増えるのではないでしょうか。
以上日本人の民族特性からこれからの時代への展望を見てきましたが、次回は本論の「はじめに」で触れた社会情勢の面から、これからの時代に日本が世界のモデルに成って行く可能性をレビューしてみたいと思います。
※『22世紀型社会に向って -日本がそのモデルになって行く-』は、週1回くらいのペースで書き足しています。バラバラした投稿になっていますが、初めから順番に読みたい方は、note のサイトを見ていただくと、頭から読める投稿にしてあります。