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『22世紀型社会に向って -日本がそのモデルになって行く-』(30回目)

2.色々な分野で起こるであろう変化

10)教育のこれから(その1)

 今回は「教育のこれから」というテーマで考えてみたいと思います。

 先ず、本論のタイトルが「22世紀型社会に向かって」となっている理由というか背景ですが、短い周期の時代転換やすごく長い周期の時代転換が今同時に起きている端境期にあって、その端境期が長いものもあるという事です。そういう長い周期の時代転換に於いてある程度新しい時代の形が整ってくるのが、なんだかんだ22世紀になってしまうかなと感じるものです。新しい時代に向かって少しずつ教育に変化・改革が進みながら、その上で3世代くらい入れ替わらないと新しい形が定着しないのではないかという直感になります。一気に変わるはずはありませんが、時代転換の流れと相補的に教育の在り方が変わって行くことがとても大切だと思います。逆に言うと、今の世の中に露呈されている多くの問題の根底に、今の教育の在り方の問題があると言えます。

 本論では【価値観の前提となる視点の変化】 として「客観性重視→主観性重視」を述べて来ましたが、これからの教育は、一言で言えば「主観は全て正解」という前提への方向転換になります。私達は、客観性=正解という暗黙のルールを作ってきました。皆が共通した軸を持ってものごとを判断することは、社会的な生活の上で欠かせません。でもそれは社会生活を円滑にする上でのひとつのルールに過ぎないということを、頭の中に叩き込んでおく必要性を感じます。あくまでも宇宙は全て主観の集まりという前提を持って置くことです。

 この3次元現象界、物質世界で生きる利便性としの客観性という軸を優越意識の一部支配者達が利用して、被支配者達を管理し易くする手段として客観性教育が使われている一面はないでしょうか。私達はこれまでいい成績を取ったものが高く評価される世の中で、客観的なものが正解という概念を植え付けられてきました。そして、優越意識が支配する世の中で、客観的にいい成績を取ったものが、社会的に優位な地位を得て行くという原則ができ上がりました。幼稚園に上がる前から決められた回答を多く出せるものが評価される教育が行われ、その基準で評価されるものが社会的に高い地位に登り、その上層部の人達がこのやり方を繰り返す世の中になりました。エリート教育と言っていいでしょうか。歴史的に見れば、2千年と言った長い期間に渡って高等教育が施される階層では、こうした教育が続けられて来ているように思います。

 一方で、私達ホモサピエンスに於ける発達・成長は、大家族の中でそこに居る多様な人達の真似をすることで育まれる、それを30万年やって来たんです。それが教育の基本でした。動物としての私達は、卵子が受精して以降「個体発生は系統発生を繰り返す」という発達を母体の中で進めます。単細胞生物から始まる進化の歴史を母体の中で繰り返して、人間の赤ちゃんの体まで進化したところで生まれて来ます。こうしたメモリーが受精卵のDNAの中に残っている訳です。生れ出た赤ん坊は、人間として体の動きができるように発育し、その後言語を含む感性コミュニケーションができるように成長し、その上で人間としての知的活動ができるように成長して行きます。この2千年くらいの間もエリート・知識階級以外は概ねこの発育成長の流れに則って来ていたと思うのです。それが、ある程度レベルの高い教育が一般に普及すようになった近代は、教育の均質化が図られ、低年齢の時期から知識教育が植え付けられるようになって来てしまいました。

 そして、現代はそれが更にエスカレートしていると思いますが、私達の体の中でこの知識を操る部位は大脳新皮質になります。私達の中枢神経の中心である脳は、大きく分けると爬虫類の脳と言われる古い脳である脳幹、哺乳類の脳と言われる大脳辺縁系、そして人間の脳と言われる大脳新皮質からできています。受精卵から進化の歴史をたどった後、生れ出た後の脳の発育も古い脳から順番に進んで行きます。本来教育というものは、その自然な身体的発育に即して行われるべきなのですが、現代の教育は全般的に身体的な機能を司る爬虫類の脳を健全に成長させるべき乳幼児の時期から、人間の脳である大脳新皮質への教育をしてしまっているのです。エリート教育ではこれが更に顕著になります。その結果、知的能力には優れているけれど、危険回避や感性全般を含む人間としての能力全体のバランスを崩してしまっている人が、大変増えてしまっていると思うのです。

 長くなりそうなので今回はこの辺りにして、次回は一部エリートという人達が現在の教育を自分達のために利用して来た実情や、時代転換に沿ったこれからの教育の在り方に話を繋げていきたいと思います。

※『22世紀型社会に向って -日本がそのモデルになって行く-』は、週1回くらいのペースで書き足しています。バラバラした投稿になっていますが、初めから順番に読みたい方は、note のサイトを見ていただくと、頭から読める投稿にしてあります。

https://note.com/qeharmony_627/n/n1c014e6dbe0c

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