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『22世紀型社会に向って -日本がそのモデルになって行く-』(14回目)

1.今 世の中で起きていること、進む方向

3)歴史の進み方

 これまで述べて来た時代の周期説には、何となくこれからの時代のありようが感じられると思うのですが、短い周期、長い周期が色々重なって大きな変わり目を迎えている今、そうしたものが統合されて色々な周期を踏まえた新しい時代が始まるのだと思います。

 これに対して、色々な意味で社会の専門家の立場で、現代社会の情勢から歴史的な考察も踏まえて、帰納法や演繹法で論理的にこれからの世の中を論じている方が多く見られます。肩書も立派な方が多く、それぞれの視点でなるほどと思われる説を展開されていて、その自説が正しいという自信に満ちている方多いように思います。しかし、今起きている時代転換は、短い周期だけでなく極めて長い周期の転換も同時進行しているために、論理的思考だけでは掴みようのない大きな変化が起きつつあると思えるのです。

 少し前にVUCAという言葉をよく耳にしましたが、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとってVUCAワールド、もしくはVUCAの時代と言われ、目まぐるしく変転する予測困難な状況を意味します。そうした視点が出てくることも、これまでの歴史的検証を踏まえた未来予測と言ったやり方が困難な時代を迎えている証左だと思うのです。

 一方で歴史の進展を弁証法的に捉えるヘーゲルの歴史哲学は、振り返って見れば様々な歴史的な動きに当てはまるように思えます。弁証法とは、ひとつの命題(テーゼ)が主流になると、これに対立するする命題(アンチテーゼ)が生まれ、テーゼとアンチテーゼの間の対立・論争から新たな命題(ジンテーゼ)が形成されて行くというものです。これを歴史に当てはめると、ひとつの体制が続くとこれに対立する活動が生まれ、その対立を通して次なる新しい体制が生まれ、こうした動きが繰り返されて時代が進んで行くということになります。実際の歴史がこのように進んで来ている場合が多いと言えます。

 改めて今この時代に世の中で起きていることに目を向けると、色々な二極対立が思い浮かびます。例えば今ウクライナで起きている戦争を見ると、これまでの世界の主流である欧米的な価値観を更に広げようとする体制と、こうした世界観に反発する動きとの対立に思えます。前者がテーゼ、後者がアンチテーゼになるでしょう。特に第2次世界大戦後、そして東西冷戦終結後に続いてきた欧米型の世界展開であるグローバリズムの行き過ぎた弊害が地球規模で目立って来たことから、これに対立するアンチテーゼが出てきているのだと思います。

 図30に象徴的な部分を示したこの多岐にわたる現代社会のテーゼ・アンチテーゼの対立は、じっくり見て行く必要のあるテーマだと思うので、次回少し掘り下げたいと思います。

※『22世紀型社会に向って -日本がそのモデルになって行く-』は、週1回くらいのペースで書き足しています。バラバラした投稿になっていますが、初めから順番に読みたい方は、note のサイトを見ていただくと、頭から読める投稿にしてあります。

https://note.com/qeharmony_627/n/n1c014e6dbe0c

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